川崎水族館(以下、カワスイ)は、川崎駅から徒歩1分程度の距離にある商業施設「川崎ルフロン」の中に、2020年7月に誕生しました。
商業施設の9階と10階を貫く2階層の水族館で、淡水魚を中心とした様々な国の水辺の生き物を見ることができます。
最新技術などが随所に用いられているカワスイを早速ご紹介します!
Contents
カワスイの所要時間
ビルの中の比較的小規模な水族館であるため、所要時間は1時間〜1時間半程度です。
一部のエリアでは解説イベントなども楽しむことができ、写真などを撮りながらゆったりと楽しむ場合には、2時間は過ごせます。
また後ほど詳しくご紹介するように昼夜で完全二部制となっていますので、それも含めて所要時間を検討することをお勧めします。
カワスイの概要・基本情報
カワスイは、「川(カワ)崎の水(スイ)族館」という立地的な意味合いだけでなく、川崎市を流れる多摩川を起点とした「川の生き物」を中心とした水族館という、ダブルミーニングが感じられます。
「世界の美しい水辺」をコンセプトに、デジタル技術もふんだんに活用した展示やサービスが特徴的です。
象徴的なものが、館内入ってすぐ現れる大きなLEDモニターを背景にしたナマズやコイ、ソウギョなどの水槽で、多摩川の上流から下流までの様子が映し出されています。
アユなどが泳ぐ円柱型の水槽などが続き、まるで多摩川を散策しているような気分を味わうことができます。
もちろん、「世界の」と銘打っているように、多摩川の生き物ばかりではありません。
「オセアニア・アジアゾーン」では、ほのかなピンク色が美しいアジアアロワナや、メタリックな体表が特徴的なコモンシート(クリプトプテルス・アポゴン)など、この地域に生息する様々な生き物が展示されています。
続く「アフリカゾーン」は、マラウイ湖などに生息するシクリッドの仲間を中心に、カラフルな魚たちの展示から始まります。
ここでは、肺で呼吸することのできる原始的な身体の構造から「古代魚」とも称されるプロトプテルスエチオピクスなどに出会うことができます。
手足のように動くヒレの動きにぜひご注目ください。
また、まるでドラゴンのような背鰭が特徴なのが、こちらも古代魚と称されるポリプテルスの仲間です。
最大で120cmほどにもなると言われるポリプテルス・ビキールや、その半分くらいの体長となるポリプテルス・エンドリーケリーなど、どちらもアフリカのナイル川などに生息する魚たちです。
他にも、模様に注目すれば、コンゴ川の宝石とも名高いレッドジュエルシクリッドや、
まるで宝石が埋め込まれたようなキラキラと美しい模様が特徴のアノマロクロミス・トーマシーなど、色彩豊かな生き物たちが多いのも魅力です。
さらに、南米に存在する世界最大級の湿地としても知られる「パンタナル」の様子を表現したこちらの展示が代表的な「南アメリカゾーン」でも、LEDモニターとの組み合わせが非常に目を引く展示となっています。
こうしたテクノロジーも活用しつつ、都市部である川崎という土地柄を踏まえ、自然に触れ合う機会を大切にする考えから「たっち土」というコーナーもあります。
生き物のふれあいコーナーは一般的ですが、土に触れることを主目的にした「ふれあい」は珍しいですね。
順路の最後に現れるのは「アマゾンゾーン」では、本物の植物を使って展示が演出されており、心地良い空間となっています。
緑に囲まれながら、淡水魚として最大級のピラルクなど、アマゾンに生息する生き物たちを眺めることができます。
昼の部では、カピバラが食事をする姿などを見ることもできますよ。
なお、カワスイ では、このカピバラをはじめ、グリーンイグアナやパンサーカメレオンなど、魚以外の爬虫類などにも出会えます。
カワスイ最大の特徴と言えば、この後の見どころでも詳しくご紹介するように昼と夜とで一部の展示が変化する点で、昼の部と夜の部は入場券も分かれており(終日チケットも有り)、入れ替えのため1時間は施設が利用できないことから、「完全二部制」となっています。
これは、特殊なケースを除いて世界的にも珍しい営業スタイルとなっています。
中には昼の部でしか展示されていないワライカワセミのように、時間限定の生き物もいますので、ぜひ昼も夜も楽しんでみてくださいね。
カワスイの見どころ・レビュー
カワスイの見どころポイントを3つの観点からご紹介します。
- デジタル技術との融合で魅力が高まる!
- 昼夜完全二部制だから違った視点で楽しめる
- 水槽内や空間の装飾・演出にも注目
見どころその1:デジタル技術との融合で魅力が高まる!
カワスイの大きな特徴の一つが、デジタル技術を様々なところで活用しているところにあります。
写真では少し分かりにくいですが、館内に入った瞬間から、ジャングルの中を動くトラの映像が出迎えてくれます。
最初の展示から体験できるデジタル技術が、水槽の背景となっているこちらの大きなLEDモニターです。
アブラハヤやカワムツ、ウグイといった多摩川に生息する魚たちの水槽を目の前に、上流から下流までの多摩川の様子が切り替わっていきます。
無機質な背景だと魚をじっくり観察するという点では優れていますが、生息環境が見えると、より生き物への興味も湧いてくる場合もあるかもしれませんね。
同じくこの大きなLEDモニターが使われているのが「南アメリカゾーン」で、広大なパンタナルの様子が映し出されています。
特に、まるで水槽の水面に夕日が沈むように見える様子はとっても幻想的です。
様々な角度から楽しむことができ、本当に南米で景色を眺めているような気分に浸ることができます。
また、カワスイの展示方法について、「魚名版」と呼ばれる生き物の名前や生息地を紹介するパネルが無いことが話題となりました。
当初は完全QRコードによる解説となっていましたが、最近は少しずつパネル式の解説に変わりつつあります。
QRコードで詳細な情報を見るのが便利な時もありますが、サッと名前を知りたい時などはやはりすぐ水槽の隣で参照できると分かりやすいですね。
一方、AIを活用した情報パネルもあります。
一部の水槽にはリアルタイム配信用のカメラが設置されており、その姿を捉えて自動的に種名や簡単な解説が表示されます。
上記の写真で紹介されているパーカーホの実際の姿がこちらです。
生き物に詳しい方でない限り、魚名版があってもどの魚が何という名前なのかを見た目だけで特定するのは難しいことも多いため、このように自動的に名前が表示されるのは便利ですね。
最後に、カワスイが誇る映像技術の最たるものがこの「パノラマスクリーンゾーン」です。
円形の部屋で半周ほどの広角スクリーンでは、川に生息するイルカの姿などを見ることができます。
特に、こちらの動きに反応するインタラクティブな機能により、手を振ったりすると近づいてきてくれます。
こうした映像技術の使い道として優れたところは、水族館では見ることのできないような生き物についても解説ができる点です。
例えば、北極海などに生息するイッカクの生態などを解説するイベントなども体験することができます。
ヴァーチャル映像は、生き物の展示では表現できないような様々な情報が得られるという点でとても有益です。
一方で、命ある生き物の動く姿には、作られた映像では得られない情報や魅力があるため、それぞれの良さを活かして様々な角度から生き物の素晴らしさを感じ取りたいですね。
見どころその2: 昼夜完全二部制だから違った視点で楽しめる
カワスイの世界的にも珍しい営業スタイルが、日中と夜とで一部の常設展示の演出や生き物が変化する「昼夜完全二部制」です。
夜でも多くの人が利用する都会だからこそできる展示方法と言えるかもしれません。
見どころその1でご紹介した冒頭のトラの動く映像も、太陽が月に変わり、ホタルの光る様子が見えるようになっています。
日中には明るい多摩川の姿を見せてくれたLEDモニターも、夕方や夜にはガラッと違った雰囲気を醸し出しています。
夜には、多摩川が羽田空港付近の東京湾に辿り着き、工場などが立ち並ぶ川崎港へ臨む様子を感覚的に感じられます。
また、こうした風景の違いだけでなく、展示エリアにも変化が見られます。
例えば、最大で全長3mにも達するメコンオオナマズは、大きな目が目立っていました。
夜には、このように照明が落とされており、今度はその尖ったヒレの形などが目を引きます。
模様などが見えにくくなる一方で、このように違った魅力に気づくことができるのも、昼夜二部制の良いところかもしれません。
他にも、ジャングルの中に通路が現れたような植物の装飾が素敵なアマゾンゾーンも、昼と夜とで雰囲気が大きく違います。
川の中を覗くような作りをしていた展示エリアも、全く違った印象となっています。
ここでのオススメは、目だけでなく耳でも楽しむこと。
暗くて静かな空間の中では夜の虫が鳴いており、非常に落ち着いた気持ちになれるのでぜひ耳を澄ませてみてください。
なお、このアマゾンゾーンのカピバラのように、一部の生き物は昼にしか見ることができません。
オセアニア・アジアゾーンのワライカワセミも同じで、ここでは夜限定のフクロモモンガと展示が入れ替わるので、ぜひ探してみてくださいね。
(フクロモモンガの展示はとても暗いので全く姿を見られない可能性があるのでご注意ください)
さらに、展示の入れ替えまではいかないですが、夜行性の生き物が活発になる様子も見ることができます。
例えばこのロイヤルナイフフィッシュは、その名の通りナイフのような変わった姿をしており、夜行性なので昼間は包丁が並べられているかのように密集してじっとしていることも多いです。
これが夜の部になると少し照明が暗くなり、水槽の中を泳ぐ姿を見ることができます。
また、同じく夜行性の生き物では、アフリカゾーンにショウガラゴという小型のサルの仲間がいます。
明るいうちは巣穴に隠れていることが多いようですが、夜にはこのように照明が暗くなるため、活動する姿を見られる可能性も高まります。
こちらも、常に見られるわけではないため、ぜひ何度か足を運んでその姿を見てみてください!
見どころその3:水槽内や空間の装飾・演出にも注目
ここまでの見どころでも何度か触れているように、カワスイでは空間作りにこだわりがあるため、装飾に注目するのも楽しみ方の一つです。
各ゾーンの入り口には、映像も組み合わせたエリア紹介の壁紙や、通路を赤や青の間接照明で照らす演出がされています。
また、ビルの中という限られたスペースの中で最大限に展示の広さを感じてもらうため、鏡を使いながら水槽の奥行きなどを演出しています。
中には、飼育のバックヤードそのものを覗けるところもあり、これも限られたスペースでより様々な視点から楽しんで頂くための演出の一つと言えます。
環境問題が世界的な課題になる中で、カワスイでは飼育しているカピバラの糞を使って野菜の水耕栽培などにも挑戦しているそうです!
水槽に注目すると、テッポウウオを展示する壁から飛び出すような半円形の水槽や、
草の茂みに潜むヤドクガエルの水槽など、水槽に様々な形があって面白さの一つとなっています。
少し珍しいのが、南米ブラジルにあるレンソイス・マラニャンセス国立公園の真っ白な砂丘をモチーフにしたこちらの展示。
水槽の周辺を演出する装飾として砂が使われている水族館はあまり多くありません。
また、特に大掛かりな装飾演出が、辺り一面が植物に囲まれたアマゾンゾーンです。
あちこちを眺めると、隅々まで植物があしらわれており、細かな配慮が感じられます。
余談ですが、カワスイでは壺による装飾が多く観られます。
カワスイでは、様々な水槽に装飾として壺が置かれており、様々な種類の壺があります。
確かに壺はあまり日常生活で縁が無いことも多く、少しエキゾチックな印象がありますね。
装飾に注目して頂くと、壺の存在感をきっと感じられますよ!
カワスイのグッズとお土産
カワスイのギフトショップは、順路の最後、出口を出たところにあります。
また、こちらのギフトショップには9階から直接入ることもできるので、カワスイを利用しなくても、お買い物だけ楽しむことができます。
なお、館内のアフリカゾーンには、海や川に生息する生き物をモチーフにしたガチャガチャがあり、こちらは入館しないと利用することはできません。
ショップの中は広々としており、オリジナルグッズをはじめとしたオシャレな商品がたくさんあります。
特に、ぬいぐるみがたくさんあり、実際の展示と無関係な生き物も含め、ピラニアやピラルクなどの淡水魚をモチーフにしたものも目立ちます。
また、世界の水辺をテーマにしていることもあり、カエル関係の商品も充実しています。
可愛いイラストが描かれたカップなども日常使いしやすいのでオススメです。
カワスイでは、一部展示にあったゴミ問題に関する啓蒙や、後述のように持続可能な食材の使用など、自然環境への意識付けもコンセプトの一つとしています。
そのため、絶滅の危機に瀕した野生生物をデザインしたエコバッグから、環境問題への関心を持ってもらおうという意思が感じられます。
ぜひ様々な生き物や生息環境を観察した後には、行動を起こすきっかけにしたいですね。
さらに、他の水族館のギフトショップには無いのが、知育玩具の充実です。
単に消費して終わってしまうおもちゃではなく、学びの要素が強いおもちゃを取り揃えるのも、広い意味での環境教育の一つと言えます。
なお、お土産の定番であるお菓子はあまり多くありません。
滅多に食べられないピラルクなども扱っているため、ぜひこの機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか!
さらに、賞味期限の近いお菓子商品を割引することで、フードロスの削減にも努めています。
なお、順路の途中にはガチャガチャのコーナーがあり、ここでは寄付を兼ねた缶バッジマグネットもあるのでぜひご活用ください。
カワスイのレストラン・飲食店
カワスイには、館内に「こもれびカフェ」というレストランがあります。
こもれびカフェは、その名の通り木々の間から太陽の光が溢れるような心地良い雰囲気が素敵なカフェ風のレストランです。
自由に読める本も、生き物をモチーフにしたものが多く置かれています。
メニューは様々なドリンクをはじめ、カレーや揚げ物などを中心に楽しむことができます。
こちらは代表的なメニューの一つ、ピラルクカレー&フィッシュフライです。
イメージのためにピラルクの名前を使っているだけかと思いきや、実際にピラルクを使用したココナッツカレーとなっています!
木材を基調とした落ち着いた雰囲気の中で食べるカレーはオススメです。
なお、館内のアフリカゾーンには、ぬいぐるみの販売の他、展示を見ながら楽しめる飲料などを提供する売店「BODEGA」もありますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
カワスイの入館料(種類別)とお得な割引情報
カワスイの入館料金は、昼と夜、昼夜共通とでそれぞれ異なります。
共通チケットおよび昼夜限定チケットの料金は下記の通りです。
- 一般 :3,000円(昼または夜のみ:2,000円)
- 高校生 :2,250円(昼または夜のみ:1,500円)
- 小・中学生:1,800円(昼または夜のみ:1,200円)
- 幼児(4歳以上):900円(昼または夜のみ:600円)
- 4歳未満:無料
また、12歳以下の方は16歳以上の方との同伴が必要という点も、他の水族館ではあまり無いので気をつけてくださいね。
団体割引や年間パスポートなどもありますので、ぜひ以下もご確認ください。
(1)年間パスポート
こちらも昼夜共通と、昼または夜限定との3種類になっています。
いずれも入館料のちょうど2倍の値段となっています。
- 一般 :6,000円(昼または夜のみ:4,000円)
- 高校生 :4,500円(昼または夜のみ:3,000円)
- 小・中学生:3,600円(昼または夜のみ:2,400円)
- 幼児(4歳以上):1,800円(昼または夜のみ:1,200円)
(2)団体割引
15名以上の場合には団体割引があります。
共通チケットは無く、昼または夜の利用のみとなっており、割引後の価格は以下の通りです。
- 一般 :1,800円(200円引き)
- 高校生 :1,400円(100円引き)
- 小・中学生:1,100円(100円引き)
- 幼児(4歳以上):500円(100円引き)
学校での利用の場合にはさらに割引がありますのでぜひご活用ください。
申請用紙や教育プログラムの詳細などは公式サイトを確認ください。
(3)障害者割引
「身体障がい者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」をお持ちの場合、入館料がほぼ半額になります。
また、付き添いの方1名は無料でご利用頂けます。
カワスイの営業時間と休館日
カワスイは昼夜完全二部制であるため、営業時間も二段階となっています。
途中には入館できない1時間の入れ替え時間がありますのでご注意ください。
- 昼の部:10時00分〜17時00分
- 夜の部:18時00分〜22時00分
また、どちらも閉館時間の1時間前には入館できなくなりますのでご注意ください。
他の水族館には無い完全入れ替え制で、料金体系も少し変則的になっているため、お出かけの際には、念のため事前に公式サイトなどを確認することをオススメします。
カワスイのアクセスと駐車場
カワスイはJR川崎駅(東口)から徒歩1分の立地にあり、「川崎ルフロン」を目指して進んでください。
川崎ルフロンにたどり着けば、案内もたくさんあるのでまず迷うことは無いと思います。
電車の場合と車の場合とで、アクセスをご紹介します。
(1)電車の場合
カワスイの最寄駅はJR「川崎駅」で、徒歩1分ほどの距離にあります。
京急線の「京急川崎駅」からは少し距離がありますが、それでも徒歩5分程度です。
建物にはカワスイの看板も出ているので分かりやすいです。
夜には電気が点灯するので、こちらもすぐに見つけることができると思います。
(2)車の場合
車を利用する場合、以下の二つの方向からのルートが想定されます。
- 北側から:都内方面
- 南側から:横浜方面
都内方面からの場合には、首都高の浜川崎出口を降りて、国道15号線を川崎駅方面に進みます。
横浜方面からの場合にも、同じく首都高を使う道が分かりやすいですが、浅田出口から降りて国道15号線で川崎駅を目指してください。
300台の車を収容できるルフロンの駐車場を使用することが基本となります。
30分で300円の料金で、ルフロンでのお買い物をすれば値段によって駐車料金が無料になりますが、カワスイの利用はお買い上げに含まれないのでご注意くださいね。
まとめ
世界的にも珍しい昼夜完全二部制という仕組みに加えて、様々な映像技術などを用いて新たな水族館の見せ方にチャレンジするカワスイ。
ビルの中という限られたスペースでありながら、何度行っても楽しめる工夫が凝らされています。
展示を楽しむだけでなく、環境問題への啓蒙や水産資源のサステナビリティなどもさりげなく意識した仕掛け・コンテンツにもぜひご注目ください!
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